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【わが友 恐慌】
【わが友 恐慌】

松浦 民輔著 講談社


 ゴールド・シルバー・レイシオ(GSR)がとても大事だよ、ということを力説している本。やや松浦氏の自慢話の感が強いのは否めないが、米国での投資のプロの眼から見た1970年代から今日までのインフレ・デフレの大きな波が語られます。恐慌というのは一発逆転のチャンスなのだから、そのチャンスをものにしまようね、という本です。既存のものが崩壊するチャンスなのだと。著者は「恐慌」の研究家といえます。

素人には格付け機関は、第三者的立場に見えますが、証券の発行者からフィーをもらって格付けするようになったのは、ここ20年ぐらいのことだとか。素人にはわかりませんよ、そんな事情は。自分で考えておおきなトレンドの波を見て投資をせよ、ということ。

歴史的にエビを世界で一番輸入している国を研究すると面白い。昔はオランダ、イギリス、その次はアメリカ、今は中国。エビがあまり始めたら恐慌のサインだそうだ。
あと、独自の統計をとる重要さ。銀座の店の来客数と天候の関係データは20年の蓄積がある。

金のデータを彼は20年以上にわたって把握しており、まさにプロ中のプロといえます。
ネットで調べてみましたがGSRのチャートはそうそうに転がっていませんでした。
「金」への投資を考えてみようかな、と考えさせられた1冊です。
2009/07/04(Sat) | 心にのこる1冊 | トラックバック(0) | コメント(9) | page top↑
【新三河物語】
【新三河物語】

宮城谷 昌光著 新潮社


 宮城谷さんの歴史物は大好きです。描き出されている人物が、それぞれなんというか陰影がちゃんとあるのですね。中国の史書物は日本と違い、土地のスケール感がわかりませんが、日本の場合、土地のスケール感がわかりますから、当時の様子を想像して楽しむことができます。

 以前から、江戸幕府のお目付け役だった大久保彦左衛門という口ウルサイ老人が居て、三河物語という本を晩年にに書いたけれど、その本には愚痴ばかり書いてある、ということは知っていました。

 この本を読んで、なぜ彼がここまで愚痴を書かねばならなかったかが、よく理解できます。
当時の政敵と戦い、お家廃絶を防ぐためだったのですね。「言葉は永遠に残る」という文章は重みがあります。昨今のようにブログやメールで軽い言葉がやりとりされている今の世の中に自分の存在意義をかけて言葉を発することなど、あまりありません。改めて「言の重さ」を考えさせられる本でした。

 家康が、徳川家という組織を大きくしてゆく過程がたまらなく面白いです。戦争のあとの論功行賞
の細かさ、よくも悪くも些細なことまで覚えている記憶力には関心させられます。親に恩があれば、たとえ親が戦死しても、その子供に報いるという人事采配への気の使い方があればこそ、組織は大きくなったのでしょう。その徳川家も作中では、何度も負けている。その負けの原因分析が人間臭く、やはり現在の会社組織に通じるものがあります。

 組織を大きくして「社長」に上り詰めた家康は、後継者選びや、社内での讒言等に悩まされ社内を束ねるのに苦労します。さしもの家康も、部下を見る目が曇ったか、讒言の結果、大久保家はお家廃絶の危機に立たされますが・・・。というところで大久保彦左衛門の面目躍如となります。上・中・下ですが、歴史ファンには面白いのでお勧めです。
2009/06/17(Wed) | 心にのこる1冊 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
【失敗は予測できる】
【失敗は予測できる】

中尾 政之著 光文社新社

期待して読んだのですが、著者が日立ご出身の方らしく、どちらかというとハードウェア
の生産工程と失敗が中心です。ソフトウェアやサービス等目に見えないものを生産する
現場で参考になる事例が少なかったです。


とはいえ、役に立たないわけではなく、ソフトウェア関係の中であげておられる「失敗の
原因」はよく整理されており、わかり易いものでした。得に「組織に起因する失敗」で
「企画変更の不作為」をあえて失敗の原因にあげておられます。

IT系等の現場で、このような「不作為」も、「担当者が変わったから」の一言で済ませら
れてしまいます。私など、「仕方ないこと」のようなあきらめがあったのですが、これも
やはり失敗の原因だよね、うん。勇気づけられました。

上司に同意を得ないと何もしない社員も、やはり「不作為」として、失敗事例に上がって
います。いやはや、そのとおり。これなども、「失敗」の一因なのですよ。日々「指示して
くれないから動けない」という社員のなんと多いことか。雪印、熊本大洋デパート火災の事故
を見よ、という訳です。

なんとなく普段考えている失敗の原因の仮設を整理してくれた良書でした。

失敗学データベース
http://shippai.jst.go.jp/fkd/Search
内に、IT・ソフトウケェアも追加してほしいですね。事例は山ほどありますが、外に出ていない
だけなんですかね。
2009/05/21(Thu) | 心にのこる1冊 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
【病になる言葉】
【病になる言葉】
「原因不明病」時代を生き抜く

梅谷 薫著 講談社

バーとランド・ラッセル
「幸福な人とは、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人である」

ヘーゲル
幸福な人とは、自分の境遇が自分固有の性格や意思や恣意にうまく合致し、その境遇に満足している「人のこと


医師が教える「言葉の使い方」の本。医師が薬を用いるように「言葉」を治療の
ために用いる方法について述べています。現場リーダーレベルとして
「これは使える」という万能薬としては

苦労を「承認」する言葉
「たいへんでしたね」は強い共感の言葉
「これまでとてもつらかったでしょう。よくがんばりましたね」

無条件の肯定
「あなたはそのままでよい」というメッセージを送ること。


普段なにげなく話している言葉も、ここまで考えてから口に出すようにすれば
ずいぶん、余分な摩擦や揉め事が減るかと思います。明治や江戸・戦前の偉人は
じっくり相手を見て、このような形で言葉を有効に使っていたのでしょう。


・力関係
場の状況を正確に把握して何をしたいのか?

・タイミング
言葉を発する準備が整ったかどうか?

・「効果」を想定してはなす
言葉の相手に及ぼす力と自分自身に及ぼす力の双方を考えてから言葉を発する

普段の自分の「言葉生活」を反省させられる本でした。

2009/05/21(Thu) | 心にのこる1冊 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
【格差はつくられた】保守派がアメリカを支配し続けるためのあきれた戦略
【格差はつくられた】
保守派がアメリカを支配し続けるためのあきれた戦略

ポール・クルーグマン著 早川書房


 ノーベル経済学賞という偉い学者先生の本とは思えないほど、読みやすく、わかりやすい本です。先生も読者を意識してかなり端折って「誤解を恐れず」工夫しているのがよくわかります。

 この本が書かれた時点で、誰がオバマの勝利を予測していたでしょうか?クルーグマン教授の偉大な点は、オバマの勝利の遥か以前に、アメリカでこのような社会的な「リベラル」「進歩派」の素地ができていることを明快に分析していたことです。

 ジャーナリスティックな本でもあり、教授は自分は「民主党支持」を明確にして共和党の保守派の戦略を、一刀両断しています。その中で、アメリカの選挙制度や、共和党の選挙戦略の実態をかなり赤裸々に述べており、「レーガン大統領時代にどんな事がアメリカで起きていたのか」が、日本の読者にとっては、実にわかりやすく見えてきます。決して日本のマスコミが報道したことはなかった視点でしょう。

 これは、日本のマスコミがアメリカの人種差別やそれにかかわることを報道するのことをタブー視しているからだと思いますが、同時に日本人で日本に住んでいると、これは実感として、判らないことだからです。しかし現実アメリカは現在でもここまで格差が激しくなってる国であり、その根源は人種差別意識である、と喝破しているクルーグマン教授は、ノーベル賞学者というよりも、むしろジャーナリストとして偉大でしょう。この手の本をアメリカで出版すのは、共和党・周辺から避難轟々に決まっているのですから。

 アメリカの医療保険については、いわずもがなという気はします。アメリカの処方薬が実は高いということを、この本を読んで知りました。なるほど、全部医療サービスになっているんだから、高い方が製薬業界は儲かります。納得すると同時に、寒々として感を覚えます。日本は世界に誇るべき国民皆保険を持っている国なのですから、今後もこれについては堅持すべく努めるべきだと切に感じます。

 アメリカの今回の選挙で、なぜ共和党が破れ、なぜあそこまでオバマが勝てたのかという背景を読み解くための好著です。

2009/03/22(Sun) | 心にのこる1冊 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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